講習会「実践的に学ぶ建築構造物振動制御のための現代制御理論」が開催されました!

教員が委員として所属している(一社)日本建築学会の「構造物の振動制御小委員会」主催の講習会が2025年6月27日(金)に実施されました。
https://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2025/bk50_20250627.pdf

刊行物「実践的に学ぶ建築構造物振動制御のための現代制御理論」の出版とともに開催されました。
書籍の情報は下記のURLから↓
https://www.aij.or.jp/books/productId/705264/

講習会の様子(当研から3名が講習会に参加、3名がアルバイトとして働きました)

受付担当2名は当研学生です
司会(筆者)の奥で
当研学生がZOOM参加者の管理をしています
会場全体の様子

主旨および内容は以下のとおりです。私は委員として参画し、3章の分担執筆に加え、当日は司会を担当しました。
制御理論に関する良書は実にたくさんあるのですが、電気回路や機械制御を題材にしたものがほとんどで、
本書のように建築構造の振動を題材にした制御理論の教科書として、式展開も詳しく掲載された書籍は大変貴重かと思います。
是非、ご一読いただけますと幸いです。

主旨:
現代制御理論は電気、機械など工学の様々な分野で応用されていますが、建築分野の標準的なカリキュラムには含まれていないため、取り付きにくい面があるかもしれません。しかし、動的システムの振る舞いを状態方程式で表現することで、内部状態の理解と制御系の設計の見通しが格段に良くなるメリットがあります。建築構造物の振動制御においても、制御系設計を行うに当たり非常に強力なツールとなります。
一方、現代制御理論の理解には高度な数学的知識が必要です。本書はプログラムを動かして計算し、結果が理論どおりになることを確かめながら学ぶことができます。プログラミング言語としてPythonの容易さとC・Fortran並みの処理速度を兼ね備え、AI、データサイエンス、科学技術計算分野で需要が高まっているJuliaを用いています。
内容は、運動方程式を状態方程式に変換する手順から始まり、構造物の振動応答を理解する上で欠かせない複素固有値解析、周波数領域および時間領域の応答解析の理論等を解説しています。そして、構造物の振動制御設計の事例も多く紹介し、理論以外の観点で考慮しなければならないポイントも詳しく解説しています。
本書が振動制御技術に興味を持ち理解を深めたい方々に少しでもお役に立てれば幸いです。

序文と目次:
https://www.aij.or.jp/jpn/books/pdf/0691.pdf

内容:
第1章:実践的な学びのための準備
第2章:建築構造物の運動方程式と状態方程式
第3章:固有振動と固有モード・モーダルアナリシス
第4章:状態方程式と伝達関数および周波数応答関数
第5章:時刻歴応答解析
第6章:制御理論と設計事例
付録:Julia言語のインストール

執筆:富澤 徹弥(教員)