指導教員と当研OB・大学院生を含む学科教員およびその学生グループが「住総研 研究・実践選奨 奨励賞」を受賞しました!
指導教員と当研4期生の武田丈さんと博士前期課程2年の日髙光稀さんを含み、学科教員およびその学生グループが第24回2026年度「住総研 研究・実践選奨 奨励賞」を受賞しました。
住まいに関する研究振興並びに研究活動の活性化に資することを目的として、『住総研 研究論文集・実践研究報告集』に掲載された論文の中から、明確な問題意識、学問領域を超えた多彩なメンバーによる研究チーム構成、具体的で豊富な調査、新しい事実の発見、研究成果の発展的広がりなどに優れたものとして表彰されました。
論文主題/副題:地域の自律化に向けたオフグリッドタイニーハウスの開発
DEVELOPMENT OF OFF-GRID TINY HOUSES FOR REGIONAL SELF-SUFFICIENCY
doi.org/10.20803/jusokenronbunjisen.52.0_243
主査
川島 範久(明治大学 専任准教授)
委員
富澤 徹弥(明治大学 専任准教授)
光永 威彦(明治大学 専任准教授)
稲村 健太郎,森川 颯斗,武田 丈,日髙 光稀(明治大学大学院 理工学研究科建築・都市学専攻)
大司 恵明,田宮 武尊(明治大学 理工学部建築学科)


概要
「中山間地域向け普及版オフグリッドタイニーハウス:モデル提案と実証的検証」
カーボンニュートラル達成には運用だけでなく建材調達~解体・廃棄までを含むエンボディド・カーボン削減が必須である。都市インフラが脆弱な中山間地域に向け,本研究は普及版オフグリッドタイニーハウスのコンセプトとシステム(想定世帯・滞在期間,材料・構法,構造,設備)を提示し,実大モックアップによる施工・解体検証,籾殻消石灰断熱を含む地域材の適用,壁体および石場建て滑り基礎の実験・再現解析,降水・日射に基づく水・電力収支の試算・サイジング,貯蔵量の見える化やコンポストトイレの運用検証を実施し,セルフビルド/地域入手材/解体・転用を前提とした小規模オフグリッド住宅の実現可能性と普及に向けた課題を示した。
Scalable Upland Off-Grid Tiny House: Proposal and Evaluation
To address operational and embodied carbon, as well as aging infrastructure, in Japan’s hilly and mountainous regions, we propose a widely deployable off-grid tiny-house model defined by household/stay, materials and construction, structure, and services. Feasibility is evaluated via a 1:1 bolt-connected timber mock-up using locally sourced natural materials, confirming constructability, disassembly, and reuse; wall-unit and stone-pier sliding-foundation tests with matching simulations; and rainfall/insolation-based sizing of water and power balances with low-cost storage-level visualization and composting-toilet trials. The results demonstrate feasibility for self-build and local-material contexts, clarify remaining challenges, and indicate pathways toward widespread adoption.
総評
人口減少とインフラ老朽化が進む中山間地域に対し、環境負荷低減と地域資源活用を両立させる「オフグリッドタイニーハウス」のモデルを提案し、その実現可能性を計画・構造・設備の三側面から実証的に検証した意欲的な研究である。セルフビルドや解体・再利用を前提とした循環型建築のモデル提示は、カーボンニュートラル実現に向けた社会的要請に応えるものであり、高く評価できる。
ややノスタルジックな嫌いはあるが、意匠や構法だけでなく、構造安全性とエネルギー収支までを統合的に扱っている点は面白い。特に、伝統的な「石場建て」の滑り基礎挙動を振動台実験と解析で評価し、大地震時の安全性(入力低減効果)を現代的な工学指標で裏付けた点は貴重といえる。また実践研究として、学生らと一緒に1:1スケールのモックアップを用いた施工検証を行い、ボルト接合による解体の容易性や籾殻断熱の施工手順を具体化した点は、説得力があり活動として評価できる。
籾殻断熱パネルの重量が乾燥前で約110kgに達し、人力施工には成人男性5名を要した結果は、「素人による容易な施工」という当初の目的と矛盾が生じている。天井等については段ボール箱に小分けにして敷き詰める方法を採用しているが、壁についても同様の対策が必要だろう。また、雨水利用シミュレーションにおいて、一定の生活水準を満たす生活用水を賄うためには大規模なタンクと一定の節水行動が必要であることが示されている。一般普及を考慮する場合、この制約は居住の快適性を損なう懸念があろう。
コンポストトイレの使用感についてのレポートなどもあるが、個々の報告としては新規性があるものではないが、一つのパッケージとしてまとめて実際に作ったという点は評価できる。
■一般財団法人 住総研 研究・実践選奨・同奨励賞
https://www.jusoken.or.jp/kenshou/recommend.html
大学のHPなどにも受賞記事を掲載いただいておりますので、ぜひそちらもご覧ください。
【MeijiNOW】 https://meijinow.jp/meidainews/activity-meidainews/137834
【大学公式X】 https://x.com/Meiji_Univ_PR/status/2089876321514254553
【理工学部ホームページ】 https://www.meiji.ac.jp/sst/information/2026/rikokentiku20260817.html
執筆:富澤 徹弥(教員)


