「免震によるレジリエントな都市の実現を目指して」が出版されました!

一般社団法人日本免震構造協会より、
「免震によるレジリエントな都市の実現を目指して ~レジリエントな都市の実現構想研究会免震システム技術WG活動報告書~」が出版されました。


書籍の情報は下記のURLから↓
https://jssi.shop-pro.jp/?pid=174932596&_gl=1*1uakocu*_gcl_au*MTI5MzM3NjIxNS4xNjgxNzkzNDk3

地震に対するレジリエンスの強化を目的とする都市免震構造の実現を目指して、日本免震構造協会の次世代免震システムの検討委員会の傘下に設置された「免震システム技術WG」(主査:北海道大学 菊地優 教授)の2020年4月~2023年3月までの3年間の活動成果です。

私は委員として参画し、3つあるSWGのうちのひとつである「性能評価SWG」の主査として取りまとめを行いました。

「免震システム技術WG」としては、免震構造によって都市全体の地震に対するレジリエンスを大きく向上させることができるという結論に至りました。
免震構造の効用をレジリエンスという新たな尺度で評価したことが画期的で、本WG全体の大きな成果と考えています。是非、ご一読いただけますと幸いです。


以下は、「性能評価SWG」の活動成果の要約です。

 性能評価SWGでは、都市免震構造のレジリエンス評価を目的として活動を行った。免震システム技術を用いたレジリエントな都市の実現構想に着手するにあたり、まず自然災害対策におけるレジリエンスの概念について、主にBruneauらの研究を基に整理を行った。レジリエンスの分析において、地震災害後のコミュニティの迅速な復旧に不可欠な機能として、インフラ機能、病院機能、行政機能、収容機能の4つを抽出し、各機能を持つ施設の構成や規模、要求性能について検討した。結果として、発災時に最も維持すべき都市機能は防災拠点機能であると考え、ある都市の一部に存在する機能継続可能な防災特区(行政機関の緊急指令所、救急病院、緊急避難所、エネルギー施設、街区業務担当者のための宿泊施設および駐車場)を想定した。防災拠点におけるインフラ、病院、行政、収容の各機能は、互いに相互依存関係にあり、それぞれの機能を維持するために、発災後は人材や物資、空間を共有する。これらのシステムを有するコミュニティを都市免震構造として具体的に設定した。

 次に、都市免震構造のレジリエンス評価にあたり、近年の国内における自然環境条件や社会情勢を踏まえ、国内のレジリエンス評価事例に関する文献レビューを行った。続いて、被害の防止・軽減を狙いとして策定された自治体のBCP事例、さらには被災後の復旧評価として、これまでの大規模地震におけるインフラ等の被害関数評価事例について文献調査を行い、都市免震構造に関するレジリエンス評価の方針を検討した。本SWGでは、被災直後から1ヵ月間の時間軸によるシナリオを設定し、①発災時の機能低下、②発災後の復旧曲線、③全体の時間軸の観点から防災拠点機能のレジリエンス評価を行った。結果として、発災時においては街区免震の場合が最も機能低下が小さく、復旧も早い。次いで、単体免震、耐震の順となった。これを基に、レジリエンス評価指標R/R0を算出した。レジリエンス評価指標R/R0は小さいほどレジリエンスが高いとされる値で、概ね街区免震は耐震に対して30%程度の値であった。以上のことから、本SWGで提案するレジリエンス評価手法により、街区免震を有する都市免震構造の有効性を確認した。

執筆:富澤 徹弥(教員)